遺言とは

遺言とは、被相続人が生前に自分の意思を表示しておくことを指します。

遺言によって財産が相続人等に移転することを「遺贈」といいます。

遺言書の記載事項

遺言により法的効力が生じるものは以下のとおりです。

・非嫡出子を認知すること

・未成年者の後見人などを指定すること

・相続分の指定をすること

・遺産分割の方法を指定すること

・遺産分割を一定期間禁止すること(最大5年)

・相続人相互の担保責任を変更すること

・特別受益の持ち戻しを免除すること

・相続人の廃除および取り消しをすること

・祭祀などの承継者を指定すること

・遺言執行者を指定すること

・遺贈すること

・寄附行為をすること

・信託の設定をすること

・遺留分侵害額の負担割合を指定すること

・生命保険金の受取人を変更すること

遺言できないこと

結婚や離婚に関することや養子縁組に関することは、遺言者からの一方的な行為では成り立たず、相続人との双方の合意が必要になることから、遺言に記されていても無効になります。

遺言の種類

遺言(普通方式)には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。

自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言
作成方法本人が全文を自筆して署名押印する。
財産目録はパソコン等による作成も可能だが、各ページに署名押印が必要になる。
本人と2人以上の証人が公証役場に出向いて申述し、公証人に作成してもらう。本人または第三者が記入した後、封筒に入れて公証役場で証明してもらう。
証人不 要2人以上2人以上
書く人本 人公証人本人が望ましい(代筆も可能)
署名押印本 人本人、公証人、証人本人、公証人、証人(封筒のみ)
印鑑認印も可能本人は実印
証人は認印も可能
本人は遺言証書・封印ともに同じ印
証人は認印も可能
検認必 要不 要必 要
特徴自宅等で保管することができるが、偽造や改ざんの心配がある。
原本を法務局で保管できる制度がある。
原本は公証役場で保管されるので安心。公証人が作成するため、形式的な不備がない。
作成手数料がかかる。
内容の秘密は保てるが、内容の不備や公証役場で保管しないため紛失のおそれがある。
作成手数料がかかる。

自筆証書遺言

自筆証書遺言書を保管している者または発見した者は、相続の開始があったことを知った後、遅滞なく家庭裁判所に当該遺言書を提出して検認を請求しなければなりません。検認を受けずに遺言を執行し、または開封した者は過料に処せられます。

検認とは、家庭裁判所が相続人に対して遺言の存在等を知らしめるとともに、遺言書の形式や遺言の状態について内容を明確にするための手続きになり、遺言の有効・無効を判断しているわけではありません。なお、検認を受けなかった場合でも遺言の効力には影響ありません。

自筆証書遺言は、遺言者が全文、日付および氏名を自書し、押印しなければなりません。一方、遺言書に一体として添付する相続財産の財産目録は、パソコン等で作成することができます。ただし、遺言者は、その目録の各ページに署名押印しなければなりません(両面印刷の場合は、両面に署名押印)。封入や封印についての要件はありません。

自筆証書遺言の変更

自筆証書遺言書の加除や変更については、遺言者が変更場所を指示し、変更した旨を付記して特にこれに署名し、その変更の場所に押印しなければなりません。要件が一つでも欠けると変更部分が無効となりますので、誤りに気付いたときは遺言書を書き直すことをお勧めします。

自筆証書遺言書保管保管制度

自筆証書遺言は、自宅等で保管するほか、保管申請をすることによって法務局(遺言書保管所)において保管することができます。保管中の遺言書は、遺言者の生存中、遺言者以外の者が閲覧することができません。また、保管された遺言書は、遺言者の死亡後であっても検認の必要はありません。

保管申請の際は、遺言者自らが法務局に出頭しなければなりません。申請する遺言書は、形式審査を行い、画像データで管理するため遺言書は無封のものに限られます。この制度は、出頭時に本人確認が行われるため、郵送による利用もできません。

遺言者は、遺言書の保管申請の撤回をすることができます。また、保管申請と同様、遺言者自らが法務局に出頭し、撤回しなければなりません。

遺言者の相続人等は、遺言者の死亡後、遺言書保管事実証明書や遺言書情報証明書の交付請求等を法務局に対して行うことができます。

公正証書遺言

公正証書遺言は、遺言者の住所地に関係なく、全国の公証役場で作成することができます。

公証人が出張することにより、遺言者の自宅や入院先などで作成することも可能です。ただし、出張先を管轄する法務局、地方法務局に所属する公証人でなければ、職務を行うことができません。

遺言書の原本など

公正証書遺言書の原本、正本、謄本については、次のとおり取り扱われます。

・原本 遺言者や立会人が署名押印したもので、公証役場に保管されます。

・正本 原本とほぼ同じですが、遺言者等の署名押印が省略され、公証人が「正本」と記し押印したものになります。各種手続きは正本で行われます。

・謄本 原本を謄写したものになります。

公正証書遺言書の証人

証人は、遺言の内容を知る立場にあるため、遺言者や公証人と利害関係がある者はなることができません。したがって、遺言者の推定相続人および受遺者ならびにこれらの配偶者および直系血族のほか、公証人の配偶者および4親等内の親族、初期および使用人はいずれも証人となることができません。また、未成年者も証人となることができません。

遺言の撤回

遺言者は、いつでも遺言の方式に従って遺言の全部または一部を撤回することができます。

自分で保管する自筆証書遺言や秘密証書遺言については、遺言書を破棄すれば遺言が撤回されたことになります。その他、以下の場合にも遺言を撤回したものとみなされます。

・前の遺言と抵触する遺言がなされた場合は抵触する部分が撤回されたとみなされます。

・遺言に抵触する贈与がなされた場合は抵触する部分が撤回されたとみなされます。

・遺言者が故意に遺言書を破棄した場合はその破棄した部分が撤回されたとみなされます。

・遺言者が故意に遺贈物を破棄した場合はその破棄した部分が撤回されたとみなされます。

自筆証書遺言書保管制度を活用した場合、原本は法務局で保管されるため、撤回しようとするときは再び法務局に出向き、保管申請の撤回、返還を受けたうえで破棄する必要があります。

公正証書遺言の原本は、公証役場から持ち出しが禁止されているため、遺言者本人であっても返却されることができません。公正証書遺言の撤回は、新たな遺言書を作成し、前の遺言を撤回する方法しかありません。